【社会学の視点】就活/転職の自己分析に疲れたあなたへ

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【社会学の視点】就活/転職の自己分析に疲れたあなたへ Human Insight

こんにちは!ハクナマタタです。

今回は私が大学時代に就活をしていた際に疑問に思ったことについて言語化し、紹介していきます。

ハクナマタタ
ハクナマタタ

そもそも、なんで私は自己分析をしなければいけないのだろうか?

と当時疑問に思っていました。

同じような疑問を持っている方に「自己分析ってそこまで神経質にならなくてもいいんだ!」と思っていただければ幸いです。

就活/転職における自己分析とは何か?

まず自己分析の定義から確認しましょう。

マイナビの定義によると以下のようになります。

就活における自己分析とは、自分の特徴や長所・短所、価値観を把握・分析し、自分の『強み』を見いだすことです。

出典:マイナビ新卒紹介

またリクナビの定義によると以下のようになります。

自己分析とは、自分の特徴を理解するために、これまでの経験や考え方を振り返って整理すること。自己分析をしておくことで「自分の仕事選びの軸」と「自分自身のこと」を明確にすることができます。

出典:リクナビ2024

以上の通り、自己分析とはその名の通り「自己」を「分析」することであるとわかります。

ハクナマタタ
ハクナマタタ

みなさん既にご存じの定義ですよね!

自己分析に関する2つの疑問

私は就活中自己分析を進める中で2つの疑問を感じました。

  • そもそも、なぜ自己分析をしなければいけないのか?
  • 自己分析をして「本当の自分」は見つかるのだろうか?

以下ではこれらの問について私なりの考えて紹介していきます!

そもそも、なぜ自己分析をしなければいけないのか?

この問いに関して私なりの考えは以下となります。

  • 近代化/資本主義の発展に伴い、「どう生きるか」考える必要が出てきた
  • 「どう生きるか」考えることは就活でも重要なため、自己分析という形で私たちは考えさせられるようになった

前者については先日の記事で詳しく紹介していますのでそちらをご覧いただければ幸いです。

後者については教育社会学者である牧野さんの「自己啓発の時代」を参考に紹介していきます。

自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究

牧野さんの本は文化社会学の観点から(自己分析も含めた)自己啓発について研究しており、本の内容は

「本当の私」を知りたい、自分を変えたい、高めたい…なぜ多くの人が自己啓発書を買い求めるのか?根底にある心性を明らかにする。

出典:自己啓発の時代: 「自己」の文化社会学的探究

となります。

自己分析と関連してくるのは”第3章 「就職用自己分析マニュアル」が求める自己とその社会的機能”です。

東京大学宗教学年報に石渡さんという方が書いた書評がありましたので引用します。

自己啓発書に見られた傾向と同じく,自己分析に関する書籍も,90 年代からその内容に作業課題を含むようになっていった。現在の自己分析マニュアルとは,その作業課題を通して「自己の本質」の発見,最大化,調整,客観化を目指すようなものである。現代においては,もはや自己分析を行わない理由が見つけられないほどに自己分析の必要性・目的が多様に語られ,自己分析からの逃げ道が塞がれていくような状況が形成されている。そこでは「本当の自分」や「やりたいこと」は自ら導出でき,それは客観化・調整が可能であるという認識が醸成されている。また,そのために自分自身の演出や表現がいっそう重要なものと見なされるようになっていく。

出典:書評 牧野智和『自己啓発の時代 : 「自己」の文化社会学的探究』

え…つまりどういう意味??

ハクナマタタ
ハクナマタタ

つまり「どう生きるか?」は

「自己分析をすれば本当の自分がわかるから、就活で自己分析をしましょう!そうすれば企業側も採用しやすくなります」

と90年代から急に言われ始めたということです。

ということは、私たちがやっている自己分析は現代特有なのね?

ハクナマタタ
ハクナマタタ

そうだと思います。

親やおじいちゃん、おばあちゃんは現代の就活生のような自己分析はきっとしていなかったでしょう…

自己分析をして「本当の自分」は見つかるのだろうか?

こちらの問いに関して私なりの考えは以下となります。

自己分析をして「本当の自分」は見つからない。企業は「本当の自分を求めていないのだから」

こちらは社会学者の宮台真司さんの就活原論という本を参考に説明していきます。

宮台教授の就活原論 (単行本・ムック) / 宮台真司/著

ポイントは以下です。

  • そもそも仕事で自己実現することは困難
  • 社会のために仕事があるわけで、自分のために仕事があるわけではない
  • 会社に貢献することが必要で、自己実現は必ずしも会社に必要ではない

自己分析の文脈でいうと以下のことがわかります

  • 就活の自己分析の本質は、企業に貢献するための自己を分析すること
  • 企業に貢献しなければ、それは自己分析ではない
ハクナマタタ
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つまり、本当の自分を就活で見つけることは困難ということです。

それを企業が求めていないため…

さいごに – 本当の自分が見つからず悩んでいるあなたへ

これまで、「そもそも、なぜ自己分析をしなければいけないのか?」「自己分析をして「本当の自分」は見つかるのだろうか?」について私なりの考えを紹介してきました。

もし、本当の自分が見つからず悩んでいる方がいましたら2点お伝えしたいです。

  • 就活において本当の自分は必ずしも探さなくてもいい
  • それでも本当の自分を見つけたい場合は、就活という枠を越えて考えてみるといいかも

2点目については私の「新自己分析論」の記事で紹介していますので参考にしていただければ幸いです。

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