「文化人類学面白そうだけど、それを学んで何になるの?」
「文化人類学を活かした就職やビジネスに活かす方法はないの?」
そう考え調べて見ると確かに大手の就活サイトで情報が出てきますが、なにか物足りなさを感じますよね…
具体例に文化人類学を学んだところでどんなキャリア形成できるかイメージできないためです。
実際に大学で文化人類学を学んでいた私も同じ悩みを抱えていました…(当時の体験談はこちらの記事で紹介しています)
そこで今回は私と同じ悩みを抱える方の参考になればと思い、文化人類学を学ぶことで身につくことと、それをどう就職・就活やビジネスに活かしていくか丁寧に解説します!
文化人類学を学ぶことで身につくこと
文化人類学の就職先やビジネスの活かし方を紹介する前に、その前提となる文化人類学を学ぶことで身につくことを紹介していきます!
これを理解することで、後に紹介する例以外にも、自分なりに文化人類学を活かしたキャリアを形成できるヒントになるためです。
文化人類学を学ぶことで身につくことは主に次の2つになります。
- マインド – 素直さ、尊重する姿勢、好奇心・探求心、客観性・俯瞰力
- スキル – コミュニケーション力、リサーチ力、分析・解釈力
文化人類学を学ぶことで身につくこと – マインド
文化人類学を学ぶことで身につくことの1つ目はマインドです。
文化人類学は次の2つの姿勢(マインド)を大切にしています。
- 文化相対主義 – 自らの価値観やものさしで相手を理解しようとせず、相手の目線から相手を理解しようとする姿勢
- ホリスティックな視点 – ある現象を様々な観点からみつめて分析する姿勢
文化相対主義 – 例としては、会話の中で「うなずく」行為が挙げられます。日本だと「うんうん」と頻繁にうなずいて相手の話を聞いている姿勢を見せますよね。ただ海外で「うんうん」を頻繁にしてしまうと「相手の話がつまらない」と捉えられる場合もあります。
ここからわかることは、文化相対主義のマインドを持っていると、もし相手が全然「うんうん」とうなずいてくれなかった場合、「この人は私の話きてない!!」となるのではなく、「その人なりの理由があるのでは?ちょっと聞いてみよう」という姿勢になるのです。
ホリスティックな視点 – 例としては、就活について研究する場合、通常の調べ方と文化人類学の調べ方で調べる範囲が異なってきます。
- 通常 – 就職率に関する統計的な数値を分析
- 文化人類学 – 就活の歴史や、家族や友人と就活の関係性、ステータスなどの社会的背景や個人のライフヒストリー等、様々な視点から就活を分析
そして、文化相対主義とホリスティックな視点を大学で学ぶことで以下のマインドが身につくのです。
- 素直さ – 相手の意見を素直に受け止める姿勢
- 尊重する姿勢 – 相手の意見を否定せず尊重する姿勢
- 好奇心・探求心 – 相手の考えや物事の本質に興味を持ち探求する姿勢
- 客観性・俯瞰力 – 多角的に物事を捉える姿勢
文化人類学を学ぶことで身につくこと – スキル
文化人類学を学ぶことで身につくことの2つ目はスキルです。
文化人類学では知り合いではない人と信頼関係を築き、フィールドワークを通じてその人達の言動を長期間観察し、観察した結果を分析していきます。
その経験を通じて以下のスキルを身につけることができます!
- コミュニケーション力 – 誰とでも信頼関係を築ける力
- リサーチ力 – ビジネス課題の全体像を観察やインタビューを通じて把握する力
- 分析・解釈力 – データを多角的に捉え、意味のある分析結果を導き出す力
文化人類学の就職先は?
ここまで、文化人類学を学ぶことで身につくことをマインドとスキルの観点から紹介してきました。
ここからは、それを就職・就活に活かしていく方法を以下のポイントで紹介していきます。
- 文化人類学を活かしたおすすめの職業
- 文化人類学を活かしたおすすめの部署
文化人類学の就職先 – おすすめ職業
1つ目は文化人類学を活かしたおすすめの職業についてです。
それは以下のような職業が挙げられます。
- コーチング
- ジャーナリスト
- 観光/留学関連
- NGO
- マーケティングリサーチ
- 外資系企業や海外出張がある企業全般
コーチング
ビジネスにおけるコーチングとは、クライアントが達成したい目標を対話を通じてサポートする最近話題の仕事です。
YouTubeで検索するとベンチャー企業であるGoal Bなどかっこいい会社もヒットします。
コーチングでは以下のスキルが求められます。
- まず、対話を通じてクライアントの価値観や認知・行動パターンを深く理解する
- 次に、理解した上でクライアント自身も認識していない新たな気づき/視点を提供する
- その後、目標達成に必要な行動を伝える
文化人類学でフィールドワークを経験した人ならそのスキルやマインドを十分に活かせそうな就職先ですよね!
ジャーナリスト
ジャーナリストに関してはイメージしやすい方が多いのではないでしょうか。
フィールドワーク=取材と捉え、現場の情報を発信し価値を見出していくジャーナリストは文化人類学を学んでいた人にはピッタリと考えられます。
また、よく文化人類学を学ぶとメディアで紹介している内容と現場の内容にギャップを感じて「現地の情報を発信したい!」と思うことがあるのですが、ジャーナリストはまさにそれを体現できますよね。
就職先としては新聞社や雑誌等幅広い選択肢があり、また将来的には本の出版とかも夢があっていいですよね!
例えば海外の文化人類学を学んでいたジャーナリストの本を紹介します。
観光/留学関連
観光/留学関連も文化人類学を活かした就職先としてメジャーですよね!
フィールドワークを通じて身についた異文化交流力が最大限活かせます。
例えば観光地や留学地で現地の人と日本からのお客さんがトラブルにあった際、文化相対主義を学んだことでお互いの価値観を考慮しながら解決できます。
それにより、一方の価値観を押し付けないためお互い気持ちよく仲直りできそれが顧客満足に繋がりますよね。
就職先としては大手旅行代理店や留学エージェント、また航空関連などが挙げられます。
NGO
国際協力や開発の分野に興味がある人はNGO(非営利団体)が文化人類学を活かした就職先としておすすめです!
広い意味だとJICAも含まれ、主に途上国に住んでいる人の目線から必要なニーズや問題となっていることを調査・発信したりします。
就職先は給与面も含め海外の団体が現実的です。
例えば、オックスファムやセーブ・ザ・チルドレン、またグリーンピースなどの団体が挙げられます。
もっと詳しく知りたい方は開発人類学という分野について調べて見るのがおすすめです。以下の本等があります。
マーケティングリサーチ
文化人類学と同じような調査をメインに仕事をしたい場合はマーケティングリサーチがおすすめです!
例えば、デコムという会社では文化人類学の手法を活用したマーケティングリサーチを行っていますし、インテージ・マクロミルといった日本の大手企業も就職先としておすすめです!
またこの後のマーケティングの話にも繋がってくるのですが文化人類学の知識を最大限活用したい場合はマーケティングの部署やマーケティングリサーチの会社に就職することをおすすめします!
詳細はこちらの記事です!
外資系企業や海外出張がある企業全般
こちらは先ほどの観光/留学関連と似ていますが、外資系企業や海外出張がある企業全般は文化人類学で身につけた異文化交流力を活かせます!
これらの企業は日本以外の人とビジネスパートナーとして協力する必要がありますが、価値観の相違から協力するのは難しいのが現状です(異文化コンフリクトともいいます)。
しかし文化人類学のマインドとスキルを身につけていれば衝突するどころか信頼関係を築け大親友になれますよね。その結果ビジネスや社会に貢献することができます。
就職先としては、海外の現地採用もありますし、外資系企業の日本法人、海外出張が多い商社・メーカー等が挙げられます。
文化人類学の就職先 – おすすめ部署
2つ目は文化人類学を活かしたおすすめの部署についてです。
それは以下のような部署が挙げられます。
- 人事職
- PM職(プロジェクトマネジメント)
- マーケティング職
人事職
人事は企業の戦略にそった人材を確保し、その人材が活躍するためのサポートをしますが、これは文化人類学で学んだマインドとスキルが活かせます!
人事の仕事を言い換えると、企業の戦略と社員を繋ぐ架け橋になることです。
架け橋になるためには、企業の全体像を俯瞰的に把握した上で、社員と向き合い活躍のサポートをする必要があります。
文化人類学のホリスティックな視点は前者、文化相対主義は後者の部分で活かせるのでおすすめです!
また最近は社内のジェンダー平等やインクルーシブが重要視されていますが、文化人類学を学んでいれば社員の目線から会社の方向性に合う提案ができるため強みになりますよね。
PM職(プロジェクトマネジメント)
PM職についても人事職と似たような文化人類学の活かし方ができます!
PM職は納期に間に合うよう各部署とスケジュール調整をしていく必要があり、想定外のことが多いため柔軟性が求められます。
想定外のことを乗り切るためにも、各部署の役割や、そこで働く人の性格を把握することが大切です。
ここでも、ホリスティックな視点と文化相対主義がプロジェクトの全体感の把握と役割・性格理解に役立ってきます。
PM職を経験した人は感じると思われますが、「スケジュール通り〇〇してください」というだけでは人は動きません。
その人の人間性を理解した上で動いてもらう必要があります。
言い換えると文化相対主義の姿勢は相手目線でどうしたらスケジュール通り柔軟に対応してもらえるか理解するのに役立つのです!
マーケティング職
マーケティングリサーチでもお伝えしたように、文化人類学と同じような調査をメインに仕事をしたい場合マーケティング職がおすすめです!
その理由は以下となります。
- 調査目的・調査手法・調査対象地域の一致からマーケティングと文化人類学の内容が似ている
- 文化人類学を活かして飯を食べていける
- 文化人類学とマーケティングの知識は他の分野で応用が効く
詳細はこちらの記事です!
さいごに
ここまでのポイントをまとめます。
まず文化人類学を学ぶことで以下のマインドとスキルが身につきます。
【マインド】
- 素直さ – 相手の意見を素直に受け止める姿勢
- 尊重する姿勢 – 相手の意見を否定せず尊重する姿勢
- 好奇心・探求心 – 相手の考えや物事の本質に興味を持ち探求する姿勢
- 客観性・俯瞰力 – 多角的に物事を捉える姿勢
【スキル】
- コミュニケーション力 – 誰とでも信頼関係を築ける力
- リサーチ力 – ビジネス課題の全体像を観察やインタビューを通じて把握する力
- 分析・解釈力 – データを多角的に捉え、意味のある分析結果を導き出す力
次に身についたマインドとスキルを以下の職業と部署で活かすことができます。
【文化人類学を活かしたおすすめの職業】
- コーチング
- ジャーナリスト
- 観光/留学関連
- NGO
- マーケティングリサーチ
- 外資系企業や海外出張がある企業全般
【文化人類学を活かしたおすすめの職業】
- 人事職
- PM職(プロジェクトマネジメント)
- マーケティング職
文化人類学についてもっと知りたい!そんな方に向けて他にも文化人類学の記事を沢山書いておりますので是非一緒に見てください!!