文化人類学に特化したレポートの書き方を紹介!

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文化人類学に特化したレポートの書き方を紹介! Human Insight

大学のレポートって書き方がわからなくて困りますよね…

特に文化人類学に特化したレポートの書き方は調べても出てこないのが現状です。(フィールドワークをすることが文化人類学特有です)

そこで今回、学部時代に社会学と文化人類学を専門とする教授から教えてもらった文化人類学に特化したレポートの書き方を紹介します!

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前提 – 世界/日本共通の文化人類学のレポートの書き方はない

いきなり「え?」と感じた方が多いと思うのですが、世界/日本共通の文化人類学のレポートの書き方は現時点でありません(是非担当の教員に聞いてみてください)

その理由は、文化人類学の中でも下位分野(経済人類学や観光人類学など)の専攻内容や指導教官によって書き方が変わってくるためです。

ただし、どの下位分野や指導教官になったとしてもある程度通用する文化人類学のレポートの書き方はあります!

今回はそれについて詳しく紹介していきます。

補足

私が指導を受けた教授は移民や観光について社会学と文化人類学の観点から研究しており、その研究の観点を活かした文化人類学のレポート構成を教えてもらいました。

また以下の本をおすすめされていたため、こちらも参考に紹介していきます。

文化人類学に特化したレポートの書き方

ここからは文化人類学に特化したレポートの書き方を紹介していきます。

初めにレポート構成の概要を紹介します。

構成比1,000~2,000字
のレポート
5,000字程度
のレポート
1万字以上
のレポート
1. 背景・目的・レポート構成5%必要必要必要
2. 先行研究10%不要の場合もあり不要の場合もあり必要
3. 理論的視座/フレームワーク10%不要の場合もあり必要(簡潔に)必要(詳細に)
4. 調査概要5%必要必要必要
5. 調査結果40%必要必要必要
6. 考察25%不要の場合もあり必要(簡潔に)必要(詳細に)
7. 結論5%必要必要必要

以上の通り7つの構成から文化人類学のレポートを書くことができますが、レポートの文字数によっても変わるので注意が必要です。

イメージとしては、レポートの文字数が多くなるにつれ、文献研究の結果を沢山載せる必要がある感じです。

文献をどの程度入れるべきかはレポート課題の概要を確認して判断しましょう(わからなければ担当教員に聞くのがベストです!)

それでは、各構成について詳しく紹介していきます。

注意

学部レベルではあまりありませんが、フィールドワークをせず先行研究のみに特化した文化人類学のレポートを書く場合もあるため注意が必要です。今回はフィールドワークをする場合のレポートの書き方に絞って紹介していきます。

文化人類学のレポートの書き方①背景・目的・レポート構成

こちらはレポートの序論に含まれるところで、他の分野のレポートと同じ感覚で書けば大丈夫です。

念のため各ポイントを説明すると以下となります。

  • 背景 – レポートで書くテーマを選んだ理由を書く
  • 目的 – 背景情報をもとに、レポートで明らかにしたいことを簡潔に書く
  • レポート構成 – 目的をどのような構成で明らかにしていくか手順を書く

具体例として東京における外国人観光客についてレポートを書く場合、以下の通りになります。

  • 背景 – コロナが収束して外国人観光客が再び増えて行く中で、彼ら/彼女らはコロナ前と同じような観光をしているのか?それとも新しい観光スタイルになったのか?
  • 目的 – コロナ後の外国人観光客の観光実態を明らかにする
  • レポート構成 – 初めに観光に関する先行研究、理論的視座をまとめ、その後東京で行ったフィールドワークの結果を紹介し分析していく

文化人類学のレポートの書き方②先行研究

ここでは、自分が調べたいテーマに関する先行研究を以下の観点からまとめていきます。

  • 自分が調べたいテーマと同じ分野の先行研究
  • フィールドワーク予定地に関する先行研究
  • 先行研究の限界とレポートの意義

先程紹介した観光を例にすると以下の通り先行研究をまとめていきます。

  • 観光人類学/社会学に関する先行研究
  • コロナと観光に関する先行研究
  • 東京の観光に関する先行研究
  • 上記先行研究ではコロナ前の観光実態についてのみ明らかにしており、コロナ後は明らかにしていないため、コロナ後の観光実態を明らかにすることは意義のあること

文化人類学のレポートの書き方③理論的視座/フレームワーク

ここでは先行研究を通じて明らかにしたレポートの目的(意義)をどの観点から分析していくか紹介していくこことなります。

正直フィールドワークの結果は様々な角度から分析できるため、書くことがあり過ぎるのが現状です。

しかし、目的もなく結果を書いていてもまとまりがないため、どの観点から結果を分析していくか説明する必要があります。これを理論的視座やフレームワークと呼びます。

先程紹介した観光を例にすると以下のような理論的視座/フレームワークがあります。

  • ジョン・アーリーの観光のまなざしの観点から分析
  • 結果に応じて、マッカランのオーセンティシティやサイードのオリエンタリズム、ワンの観光コミュニタス論を援用
用語解説

観光人類学/社会学を学んだことがない方はあまり聞き慣れない用語だと思いますので、まずは観光人類学/社会学に関する本や以下の動画などをみて理解を深めることをおすすめします!

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文化人類学のレポートの書き方④調査概要

ここではフィールドワークの概要を説明していきます。

具体的には以下の項目についてレポートを書いていきます。

  • 調査手法について(参与観察、インタビューの種類)
  • 調査場所と期間について
  • 調査地について

先程紹介した観光を例にすると以下のようになります。

  • 調査手法について – 参与観察と半構造化インタビュー
  • 調査場所と期間について – 東京新宿歌舞伎町周辺。XX月YY日~XX月XX日まで
  • 調査地について – 東京と歌舞伎町の概要(人口や観光推移、特徴など)
補足

フィールドワークの手法に関して理解を深めたい場合は先程紹介した以下の本がおすすめです!

文化人類学のレポートの書き方⑤調査結果

ここでは、フィールドワークをした結果について事実ベースで書きましょう。

事実ベースとは、自分の主観的な意見は書かず、見たこと、聞いたことをありのままに記載するという意味です。

先程紹介した観光を例にすると以下のようになります。 *調査結果はあくまでも架空の設定です

  • 歌舞伎町に観光に来ていた人は外国人の割合が多かった(レポートでは多かった根拠も書く)
  • 翻訳アプリを使用してラーメン屋の定員さんとコミュニケーションを取っていた。その方にインタビューしたところ「コロナ前は英語の張り紙がない場所は言語の問題でいけなかったけど、最近翻訳アプリのおかげで日本語しかない場所でも行けることができた。日本語しかないお店は観光地化されていないから、ローカルな日本を体験できて満足している」といっていた。
  • その定員さん(日本人)にも聞いてみると、「コロナ後外国人観光客が一気に増えた。日本語しかないのにビックリしている。」と返答があった

文化人類学のレポートの書き方⑥考察

ここでは先程のフィールドワークの結果をもとに、先行研究や理論的視座/フレームワークと絡めて結果を深堀りしていく段階となります。

1,000~2,000字のレポートのレポートの場合不要なケースもありますが(フィールドワークの経験をすることが目的のため)、卒業論文や長文のレポートになってくると必ず必要になってきます。

考察をしないと論文として成立しないためです。

さて、考察の仕方は事実→事実からわかること→解釈のステップで進めていくのが基本になります。

先程紹介した観光を例にすると以下のようになります。

  • 先程日本語表示しかないラーメン屋での外国人観光客と日本人定員の会話を参考にすると(事実)、コロナ前と後で外国人観光客の行動範囲が広がったことがわかる(事実からわかること)
  • ここから観光のまなざしの対象範囲がコロナ前と比べて広がったと解釈できる(解釈) 
  • 言い換えると、グローバル化やテクノロジーの進化に伴い観光のまなざしの対象範囲が今後も広がっていくと推察される。

文化人類学のレポートの書き方⑦結論

最後に、レポートのまとめを以下の順序に従って書いていきます。

  • レポートの目的振り返り
  • レポートの結果
  • レポートの限界
  • 今後に向けて

先程紹介した観光を例にすると以下のようになります。

  • 本レポートではコロナ後の外国人観光客の観光実態を明らかにすることを目的にし、歌舞伎町でフィールドワークを行った
  • その結果観光のまなざしの対象範囲がコロナ前と比べて広がったことがわかった
  • ただし、今回のフィールドワーク期間や対象者とのラポール(信頼関係)に限界があった
  • そのため、今後は長期間フィールドワークを実施し厚みのある考察をしていきたい
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さいごに

いかがでしょうか?

皆様のお役に立てれば幸いです!

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